- +81 555 72 0132
- staff@yamazumien.jp
- 年中無休:9:00 - 18:00
甲州印傳の技法
About Koshu Inden
「粋」を愛する人たちに、昔も今も
美を創る喜びと、技を伝える心が「いんでん」の伝統を支えています。
異国のロマンをのせて伝えられた、 はるかなあこがれ「印伝」
About Koshu Inden
「いんでん」の名の起こりは…
「いんでん」の名の由来は、”インデア”の変化した言葉とも、印度伝来によるともいわれています。寛永年間に、来航した外国人により印度(インド)装飾革が幕府に上納された際に名づけられたと伝えられています。はるかな海を越え、また一方で、シルクロードを経てきたであろう品々に、当時の人々のロマンとあこがれがこめられていたのでしょう。その華麗な色彩に刺激されて、のちに国産化されたものを印伝と呼ぶようになりました。
戦国時代の武将の武具にも。
「いんでん」などの鹿革は、体になじみ、強度をそなえているため、武具の一部としても盛んに使われたようです。戦国時さ弓さ代には、古来のふすべ技法や更紗技よろいかぷと法を駆使した鎧や兜が、武将たちの勇姿を飾り、輝かしい威光の象徴となったのです。江戸時代に入ると、「いんでん」きんちゃくはやみちさいふは大いにもてはやされ、巾着、早道、財布、たばこ莫入れなど、実用と装飾をかねそなえた品々が、庶民に愛好され、”粋”を競いあったようです。これらの貴重な「いんでん」は、現在も印博屋に所蔵されています。
遠く奈良時代にそのさきがけが。
日本の革工芸の歴史をたどると、遠く奈良時代に、ふすべ技法でつくられた文箱(東大寺蔵・国宝)がよく知られています。革を染める、模様をのせるなど、人々の革を彩る工夫は時代とともに発展しきんてきました。17世紀頃には海外から金からかわ唐革などの装飾革が渡来し、わが国でもさまざまな技法が生み出されました。その一つが、遠祖上原勇七(現十三代)が創案したといわれる甲州印伝です。
About Koshu Inden
独自の技法を創案し、 代々受け継いできた印傳屋。
鹿皮と漆、甲州印伝のはじまり。
四方を山に囲まれた山梨県(甲州)は、古くから鹿革や漆を産出していたことから、甲州印伝が生まれ育つには格好の地でした。遠祖上原勇七が鹿革に漆付けする独自の技法を創案し、ここに甲州印伝がはじまったといわれています。当時の「いんでん」は漆がヒビ割れしていることから地割印伝、松皮印伝と呼ばれ、漆のもつ独特の輝きが人々を魅了しました。
家伝の秘法を今に伝える印傅屋。
江戸後期に刊行された「甲府買物独案ない内」(1854年刊)によると、当時の甲府城下には「印傳屋勇七」をはじめ三軒の印伝細工所がありました。しかし永い時の流れの中で印傳屋だけが残りました。それは、家伝の秘法(ふすべ技法など)が、上原家を継ぐ家長「勇七」のみに口伝されたことによります。この継承と研鐙への情熱こそ老舗としての誇りでした。なお、十二代まで門外不出とされてきた家伝の秘法は、現在では印伝技法の普及・宣伝のため、広く公開されています。
創意を育む日本美の原点。
時とともに輝きを増す「漆」。
About Koshu Inden
西洋では「ジャパン」と呼ぶ漆。
漆のことを西洋では「ジャパン:japan」と呼んでいます。このように日本の代名詞になるほど漆は日本人に親しまれ、なじみ深かったのです。はるか昔から、漆がわが国を代表する特産品であり、工芸品であったといえるでしょう。
すぐれた実用性と装飾性。
うるおうるわ漆の語源は「潤う」「麗し」によるといわれています。漆のすぐれた性質が日本人の創意を触発して、古来さまざまな細工物や工芸品が生み出されてきました。漆のもつ接着力、膜面の強さ、防水性、そして独特の光沢は、実用と装飾をかねそなえた絶好の素材だったといえるでしょう。
時がたつほど冴える色艶。
漆の光沢は、漆という自然の素材だけがもつ輝きであり、美しさです。その生命も永い歴史によって証明されています。「いんでん」にほどこされた色漆は、時がたつほど色が冴え、深みのある落ち着いた光沢になっていきます。なお、「いんでん」には主に黒、朱、白の漆が使用されています。
吟味された天然素材の風合い。
軽く、強く、やさしい「鹿革」。
About Koshu Inden
古くから武具や袋物に活用。
昔は日本全国に鹿が生息していました。人々はこの自然の素材である鹿革を珍重し、さまざまな加工を施し、生活の中で幅広く活かしてきました。甲冑の一部、工芸品、被服そして袋物など、その持ち味を引き出しながら、次々に工夫がこらされていきました。
その感触は、まさに自然の恵み。
鹿革は、人工では真似のできない数々のすぐれた性質をもっています〕軽く丈夫で、しかも柔らかな感触は、人肌に最も近いといわれ、古くから人々に愛されてきました。鹿革は使い込むほど手になじみ、自然の感触をいつまでも楽しむことができます。
最高級の鹿革を使用。
「いんでん」には、厳選された最高級の鹿革が使用されています。厚み、肌ざわり、質感、均一性などを厳しくチェックしています。また鹿革は野生のため一頭ごとに性質が異なり、染色にも微つの妙な差が生じたり、角キズ(角ズレ)などの多い素材ですが、それぞれの特性を活かした製品づくりに努めています。
About Koshu Inden
自然を映した柄、時代を語る美。 「いんでん」の多彩な文様。
日本人の繊細な造形美の粋。
「いんでん」のきわだつ特色の一つは、漆により描かれる美しい柄です。小桜、菖蒲、青海波、とんぼなど江戸小紋にもみられる伝統の柄が「いんでん」を飾ってきました。これらの柄は、昔から自然や四季の美しさに敏感だった日本人の美意識が生み出した造形美、様式美です。その洗練された美は現代でもその輝きを失っていません。また、「いんでん」には、遠く西域や中国から移入され、永い年月をかけて和様にアレンジされた文様も伝わっています〕
伝え磨く、伝統美と創作美。
「いんでん」には、古くから人々の生活を彩り、親しまれてきた柄が数百種類も継承され、ストックされています。この豊富な柄の蓄積こそ創造の源泉であり、多彩な美の原点です。時代時代の心を映し、人々の装う喜びを演出する「いんでん」。伝統の柄を大切に守り伝えると同時に、常に新しい感覚の文様の開発にも努めています。
About Koshu Inden
手づくりの誇りをこめて、 磨き抜かれた熟練の技。
「いんでん」は、すべて職人による手づくり。
“漆付け三年”といわれるように、どの工程をとっても高度な熟練と研ぎすまされた勘を要します。脈々と受け継がれた伝統の技と心が、手から道具へ伝わり、そして製品の細部に反映されます。この品質に対するこだわりには、お届けする製品を永く大切にお使いいただきたいという願いと、美のつくり手という誇りがこめられています。
染色
白い鹿革を黒、紺、茶、エンジ、ワイン色に芯染め(ずぶ染め)します。一回のドラム染色で百枚単位を染めます。鹿革は一頭ごとに性質が異なるため染色にも多少の差が生じますが、これはむしろ天然素材の持ち味といえましょう。
裁断
の大きい部分を避け、良いところだけを選んで裁断していきます。多少の角ズレは本物であることの証とされています。
柄付け(漆付け・更紗)
鹿革の上に型紙(手彫りされた和紙)を重ね、その上からヘラを横に刷りこむようにし、型紙から革をはがすと、鹿革に抜き柄通りに美しい文様が浮かび上がります。これを数日間かけてムロで乾燥させると、硬質な輝きの漆柄が仕上がります。
縫製・仕上げ
白い鹿革を黒、紺、茶、エンジ、ワイン色に芯染め(ずぶ染め)します。一回のドラム染色で百枚単位を染めます。鹿革は一頭ごとに性質が異なるため染色にも多少の差が生じますが、これはむしろ天然素材の持ち味といえましょう。
検品
の大きい部分を避け、良いところだけを選んで裁断していきます。多少の角ズレは本物であることの証とされています。